環境配慮型エマルジョン接着技術

なぜ、必要なのか?

日本は、諸外国と比べてもこのVOCの排出量が高く、全国でのVOC削減が課題とされてきました。
しかし、規制に対応していない企業がまだ多くあるのが現状です。
どんなに優れた製品でも、環境や人体を傷つけることは良いことではありません。
地道な作業だとしても、これらの積み重ねが実を結ぶということを知っているNPCだからこそ、やさしい未来を信じて、これからもお客様に「安全性と信頼性」の高い製品を提供することが可能なのです。

人体・環境への影響などを含めた安全性を確立するために

小寺:
「平成16年5月に大気汚染防止法が改正されて、平成18年4月1日から施行、VOC(揮発性有機化合物)の排出規制が実施されました。当社の工場も今の規制の対象となる事業所は排出するVOCの量を基準内に収めなければなりません。当時はVOCを発生させる溶剤系の粘着剤を全面的に使用していましたので、ここで私たちにできることは何かと改めて考えさせられました。

試行錯誤を繰り返し、2つの選択肢に直面

工場規制のみ回避して技術課題を先送りにすべきか―

小寺:
「VOC規制の施行に際して、私たちには2つの選択肢がありました。製品の生産には引き続き溶剤系の粘着材を使いつつVOCを工場の外に出さないように「燃焼装置」と呼ばれる設備を導入するか、あるいは製品そのものをVOCを全く排出しないエマルジョン(水溶性)タイプの粘着材に切り替えるか。
当然、燃焼装置の導入の方が簡単です。製品の作り方は従来通りで、ただ装置をつけるだけですから。一方、粘着材を切り替えるというのは大きなリスクを伴います。
製品の作り方、性能が大きく変わってしまう可能性があるわけですから、それでも、VOCを全く排出しない製品を作ることはとても大きな意義を感じました。
メンバーの中からは、やはり製品の生産を危険にさらすような大胆な変更は避け、リスクも抑えるべきではないかという意見もありました。結論はなかなか出ませんでしたね。
それでも全員が「本当に良いモノとは何か?」という問いについて考えている姿はうれしかったですね。」

困難だとしても、技術開発に取り組むべきか―

小寺:
「技術開発といっても、これまでのものを発展させるのではなく、エマルジョンという全く新しい知識が必要とされます。
現状の中で模索していても問題の根本的な解決は難しいのも分かっていましたし、エマルジョン技術を導入したからといって本当にうまくいくのだろうか、という不安が全くなかったわけではありません。
それでも環境対応100%という成果は今のNPCに必要だと確信がありました。」

困難な道を選択したNPC,その背景にあったもの

廣瀬:
「何度も話し合いを重ねましたが、やはりエマルジョン技術を取り入れ、企業全体で前進して行こうという結論に至りました。
私たちが優先すべきことは環境や健康への影響を最小限に抑えることには変わらないですから、あとはいくつもの壁をどう乗り越えるかということだけでした。誰かが背負うのではなく、社員全体が同じ方向を目指せたことも心強かったです。
今では安全性にも優れていると、これまで以上に胸を張れますね。」

たどり着いた現在の姿と今後のビジョン

海外でも最新のエマルジョン技術を導入

小寺:
「私たちの技術が世界でも認められ始め、求められているということは本当にうれしいですね。日本でも未だにVOC規制への対応をしっかりとできていない企業はありますが、私たちは自分たちにできることを一つずつやっていくだけです。エマルジョン技術を導入すれば、より優れた製品が生まれるということを伝えることも私たちの役目ではないかと思います。」

さらに幅広く、粘着による部品加工が可能になる

廣瀬:
「今後は技術面での進歩にもより力を入れたいと考えています。今は自動車の粘着をメインで行っていますが、粘着技術やそれに関連する塗工技術が進歩すれば、よりたくさんの場面で私たちの技術が必要とされるはずです。世の中が何を求めているかも把握しながら、臨機応変に柔軟な対応をしていけるよう視野を広げて取り組んでいきます。そう思うと良い意味で、弊社はまだまだ発展途上なのかもしれませんね。」

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